グリーンブック
前々から良い評判を聞いていたのでTSUTAYAの更新ついでに借りてみた。
この頃人が死ぬ実写映画ばかり見ていたので銃やら悪天候の中走る車やらが出てくるたびにハラハラしたけれど、劇物的な要素を抑えて二人の友情が描かれた非常によくできた映画だと思った。
それでトニー・リップとドクター・シェリー、この二人は勿論男同士な訳だけれど、自分はこの二人の関係のうちに「初めてハンバーガーを食べるお嬢様」を幻視した。というかドクターがフライドチキンを食うくだりは、食べ方をはじめとする諸々の問題でポピュラーフードを嫌がるも、最終的にはその魅力に堕ちてしまうというお決まりのアレだった。
それはさておき、個人的に好きなシーンはトニーが俺のほうがよっぽどクロだと毒づいたところだ。この発言自体は、黒人と白人、また類稀なる才能と現実における「ファッション」的扱いの狭間で揺れるドクターへの配慮に欠けた一言であったとトニーも受け止めている(当然このぶつかり合いが面白いのだ)が、ここにはトニーの物質的な切実さがよく表れている。逞しさ、というのが彼をよく表す言葉だと思うが、それが様々な形で表現されているのが楽しい映画だった。
トニーとドクターは正反対の性格をしているが、どちらも彼らが住まう世界における生きる術を高度に身に付けているという共通項がある。トニーのしたたかさとドクターの高貴さが、それぞれ成功したり失敗したりを繰り返す様は見ていて愉快だった。
だいたいこんな感じ。
適当に感想を調べていたら、「手紙」の意味を考察してる感想があって参考になった。
https://eiga.com/movie/89815/review/02303864/